1. 新刊書
  2. 新田啓子著. 『アメリカの黒い傷痕 〈生態(エコロジー)〉としての人種と文学の潜勢力』 青土社, 2025. 7. 31. A5判367+xiv頁, 3,200

新田啓子著. 『アメリカの黒い傷痕 〈生態(エコロジー)〉としての人種と文学の潜勢力』 青土社, 2025. 7. 31. A5判367+xiv頁, 3,200

概要

トウェイン、フォークナー、ボールドウィンから、モリスン、マッカラーズ、ホワイトヘッドまで――

政治がそれをいかに忘却しようとも、文化や個人のあり方のうちに、言い換えれば、アメリカン・デモクラシーの視界のきわで熾火のように熱をたくわえ、人種は潜伏しているのである。人種を持続的に思考するには、その様々なる潜伏の場を、まず探りあてる必要がある。――序章より

目次

序章 人種、あるいはアメリカのエコロジー


第Ⅰ部 黒人が生まれ出づる〈生の論理〉

第一章 母の消去

一 自由人の楽園、奴隷の地獄

二 奴隷の母のトポロジー

三 人種に書かせた物語


第二章 「黒い果実」としての肉体

一 黒人の在り処

二 サウスランド再訪

三 剝き出しのメロドラマ

四 めぐりあう南部


第三章 生を肯定する理由

一 反・反出生と想像力

二 奴隷制下の自律性と性的充足

三 性の正視と愛する力

四 サハラの時間、獄としての性


第Ⅱ部 生まれ出たものが〈住む条件〉

第四章 アメリカの礎

一 一六一九マインドと文学批評

二 先住民と荒野の余剰

三 「我が国の事情」と「人間の枠組み」

四 謎の遺産と消したい過去

五 環大西洋奴隷貿易と帝国の文手箱


第五章 奴隷制廃止の情動

一 扇情のアダプテーション

二 「鉄道」以前のニューポートにて

三 思考と感情/情動調律


第六章 耐え忍ぶ者の透視図

一 解放への長い道のり

二 闘争の意味を問う

三 依存の詩学

四 絆を断ち切らない理由


第Ⅲ部 生を遷移させる〈人種=生態〉

第七章 生態実験のような人生

一 南部小説と不詳の「南部」

二 記憶が信じたカラーライン

三 灰色の平和、無数の声


第八章 「白い屑」に映された暗黒

一 ハーストンが歌った唄

二 南部の復興とクラッカーの上昇

三 クラッカーの上昇+他者の抑圧=アメリカの膨張


第九章 安い命がつながるところ

一 驚異的な人間性

二 抵当に入った心

三 人の命が安い風土


終章 アメリカン・デモクラシーのエコロジー


あとがき


初出一覧

引用文献一覧