1. 新刊書
  2. 巽孝之監修, 小澤奈美恵・塩谷幸子・塚田幸光編著. 『映画で読み解く現代アメリカ2―トランプ・バイデンの時代』 明石書店, 2025. 4. 30. 四六判281頁, 2,700

巽孝之監修, 小澤奈美恵・塩谷幸子・塚田幸光編著. 『映画で読み解く現代アメリカ2―トランプ・バイデンの時代』 明石書店, 2025. 4. 30. 四六判281頁, 2,700

概要

本書は、トランプ・バイデン両政権下のアメリカ社会を、映画を通して読み解くことを試みる。政治、経済、人種、移民、ジェンダーなど多岐にわたるテーマを対象に、カルチュラルスタディーズの視点から、映像文化に潜む社会構造や権力関係を分析。オバマ政権のリベラルな政策からトランプ政権の保守反動、そしてリベラルに揺り戻しが起きたバイデン政権まで、近年のアメリカが抱える分断と課題を考察した一冊。

目次

はじめに


Ⅰ ポスト・グローバリゼーションの世界


第1章 悲劇は喜劇、あるいはすべてが喜劇――『ジョーカー』[遠藤徹]

 [コラム]グローバルな格差を巡る様々な映画

 [コラム]ゾンビタウン「フィラデルフィア」――フェンタニルの悪夢

第2章 コロナ禍における孤独を描く――『ソングバード』[石塚幸太郎]

 [コラム]目的共同体としての抗議活動

第3章 移民問題に見る分断と壁――『ウエスト・サイド・ストーリー』[南波克行]

 [コラム]スピルバーグの生い立ちから見る移民


Ⅱ 人種とジェンダーの多様性 vs. 抑圧的政策


第4章 本棚からのメッセージ――『イコライザー2』[伊達雅彦]

 [コラム]BLM運動の影響

第5章 すべての野蛮人を根絶せよ――『私はあなたのニグロではない』[宗形賢二]

 [コラム]白人至上主義運動

 [コラム]BLM運動とリンクする表現者ジャネール・モネイ――奪われつつある人種的ルーツと性の警告

第6章 “RBG”はリベラル派のアイコン――『ビリーブ 未来への大逆転』[寺嶋さなえ]

 [コラム]文化戦争としての人工妊娠中絶――プロチョイス対プロライフ

第7章 イン・ビトウィーン・ジェンダーズ――『ムーンライト』[塚田幸光]

 [コラム]キリスト教福音派と「性」――『ある少年の告白』


Ⅲ デモクラシーの危機


第8章 ポスト・トゥルースの時代の報道の正義とは?――『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』[小澤奈美恵]

 [コラム]トランプ大統領のロシア疑惑と二度の弾劾裁判

 [コラム]トランプ大統領対ジョージア州検察――選挙を盗んだのは誰か

 [コラム]一月六日議会襲撃事件――威信を失った古きアメリカの反乱

第9章 さらば現実の沙漠よ――『マトリックス』四部作[巽孝之]

 [コラム]ポストヒューマン、シンギュラリティ、生成AI


Ⅳ 新たな潮流


第10章 ろう者の世界と聴者の世界をつなぐ架け橋――『コーダ あいのうた』[塩谷幸子]

 [コラム]人工内耳をめぐる議論

第11章 オッペンハイマーと原爆の応答責任――『オッペンハイマー』[岩政伸治]

 [コラム]『ゴジラ-1.0』ともう一つの戦後日本

第12章 食の政治学――『アメリカン・サイコ』『ハンニバル』[越智敏之]

 [コラム]移民と食の融合

第13章 エイリアンから学ぶ――『メッセージ』[鈴木繁]

第14章 一人の人間とアメリカにとっての「偉大な飛躍」――『ファースト・マン』[冨塚亮平]

 [コラム]エマソンの宇宙観

 [コラム]スペースXと宇宙開発

第15章 Z世代の青春とサブカルチャーの現在――『ブックスマート』『行き止まりの世界に生まれて』[成実弘至]

 [コラム]Z世代とファッション


 おわりに


 用語解説

 引用・参考文献/参考映画

 編著者紹介