1. 新刊書
  2. 小澤奈美恵著, 『ウィリアム・エイプス研究 甦るピークォット族の声』 明石書店, 2021. 9. 25. A5判382頁, 5,200

小澤奈美恵著, 『ウィリアム・エイプス研究 甦るピークォット族の声』 明石書店, 2021. 9. 25. A5判382頁, 5,200

概要

一九世紀に活躍したピークォット族のキリスト教牧師で著述家・ウィリアム・エイプス。その生涯や作品とアメリカ先住民文学における位置づけをその時代の先住民の社会的地位、先住民表象、主流作家との関連の中で論考する。アメリカン・ルネッサンス研究に新たな光を当てた労作。

目次

ウィリアム・エイプス関連地図(一八~一九世紀)

フィリップ王戦争地図(一六七五~一六七六年)

 

 序

 

第Ⅰ部 ウィリアム・エイプス研究

 

第1章 ウィリアム・エイプスの文学について

 第1節 ウィリアム・エイプス先行研究

 第2節 ウィリアム・エイプス略歴

 

第2章 自伝『森の息子』に見るエイプスの生い立ちと回心体験物語

 第1節 アメリカ先住民自伝というジャンル

  1 草分け的な先住民自伝の定義

  2 純粋な伝統を引き継ぐ先住民自伝

  3 キリスト教に改宗した先住民の自伝

  4 ウィリアム・エイプスの自伝文学の位置づけ

 第2節 アメリカン・ルネッサンスにおける先住民自伝――ウィリアム・エイプスの『森の息子』論

  1 『森の息子』(A Son of the Forest, 1829)について

  2 「回心体験物語」(Conversion Narrative)とは

  3 「回心体験物語」(Conversion Narrative)とメソディスト派の利用

  4 「捕囚物語」(Captivity Narrative)の逆転

  5 「奴隷の体験物語」(Slave Narrative)の源流――市民権・選挙権への目覚め

  6 結語

 

第3章 メソディスト派説教師として

 第1節 千年王国論に託された先住民の復権――『キリスト王国の繁栄――説教』と『インディアン――消えた十部族』

  1 千年王国論と先住民=イスラエルの消えた十部族説

  2 先住民へのキリスト教布教

  3 エイプスが所属したメソディスト派

  4 『キリスト王国の繁栄――説教』と『インディアン――消えた十部族』

  5 結語

 第2節 回心体験物語とインディアンの鏡に映し出されるアメリカ社会――『五人のピークォット族キリスト教徒インディアンの回心体験物語』論

  1 作品の背景

  2 回心体験とインディアンの鏡

  3 結語

 

第4章 アメリカ先住民独立宣言――アメリカ革命の言説を用いた自治権獲得への闘い

 第1節 ウィリアム・エイプスと「マシュピー族の叛乱」

 第2節 白人に創り上げられた先住民表象の破壊

 第3節 人種、階層、宗派を超えた共闘と啓蒙主義精神の共鳴

 第4節 結語

 

第5章 二世紀に亘るフィリップ王神話形成に抗して――先住民視点によるフィリップ王神話の再構築

 第1節 一七~一八世紀におけるフィリップ王神話の形成

 第2節 一九世紀におけるフィリップ王の神話化

 第3節 エイプスの戦略――フィリップ王の脱神話化

  1 演説の背景

  2 『フィリップ王への讃辞』

 

第6章 アメリカン・ルネッサンスの作家たちの先住民観――エマソン、ソロー、ポー

 第1節 エマソンからソローへ

  1 エマソンと政治への関わり

  2 アメリカ先住民と強制移住

 第2節 『メインの森』のペノブスコット族――ソローが描かなかったもの

  1 ペノブスコット族の置かれていた社会的、歴史的状況

  2 『メインの森』に登場するペノブスコット族

  3 結語

 第3節 植民地時代の記録文学――ソローの『メインの森』への影響

  1 テオドール・ド・ブライの『紀行文集』

  2 ジョン・スミスの『ニューイングランド解説書』

  3 セバスチャン・ラール神父の『イエズス会通信』

  4 結語

 第4節 ポーとエイプスの接点――『アーサー・ゴードン・ピムの物語』に隠された「アメリカ先住民=イスラエルの消えた十部族」説

  1 『ピム』最終場面

  2 ポーと十部族説

  3 エイプスと十部族説

  4 伝記的接点

  5 結語

 

 第Ⅰ部写真出典

 

第Ⅱ部 エイプスの主要作品二編の全訳

 

森の息子

 

フィリップ王への讃辞

 

 あとがき

 

資料

 第Ⅰ部初出一覧

 ウィリアム・エイプス関連年表

 引用・参考文献

 第Ⅰ部索引


 著者・訳者紹介