概要
反抗や闘いの矛先を見失った70年代、ロック・アーティストは自己や世界や表現手段、メディアなどを積極的に「構築」して時代や政治や権力と闘った!
アメリカの黒人音楽とその歴史の強い影響を受けた「ブリティッシュ・ロック」の闘い、大西洋を挟んだアメリカで人種民族問題などを問い直したアーティストたちの闘いの風景をアメリカ文学者が活写する。
目次
序 音楽で闘うということ
第Ⅰ部 70年代ロックの闘い——思想・文化・政治
第1章 ポストモダン・クリムゾン
——アイデンティティ構築とロック/SF
第2章 ハイパーリアル・イエス——起源なき反復の体現者
第3章 荒地に響くマザー・グースの歌
——英文学的ジェネシス論
第4章 「新たなエルサレム」を求めて
——EL&Pとポストモダン的崇高
第5章 ジェフ・ベックとギターヒーローの文化史、
あるいはギターというメディア
第6章 ロックスターでありつづける困難と覚悟
——マーク・ボランと70年代ロック
第7章 ピート・タウンゼンドの〈ユメ〉と〈ウソ〉
——メタフィクションとしての『四重人格』
【コラム】 倒錯という戦略
——ブラック・サバスとH・P・ラヴクラフト
第Ⅱ部 アメリカの政治と音楽の闘い——人種・歴史・空間
第8章 不幸な変り者の系譜
——ボブ・ディランとアメリカ詩の伝統
第9章 LA/アメリカを演じつづけること
——イーグルスとアメリカン・アイデンティティ
第10章 「普遍の調べ」を追いつづけて
——カルロス・サンタナのアイデンティティと音楽
第11章 クロスタウン・トラフィックの結節点
ーージミ・ヘンドリックスを生んだ時間と空間
第12章 女々しくて辛い場所に辿り着いたアイドル
——マーヴィン・ゲイと60年代の感情革命
第13章 ケンドリック・ラマーと内省のアメリカ文学
第14章 ウッドストック、ロックとカウンターカルチャー
——再考と再評価の試み
あとがき
参考文献
索引