1. 新刊書
  2. 高尾直知著, 『〈嘆き[モーニング]〉はホーソーンによく似合う』 中央大学出版部, 2020. 8 15. 四六判iv+370+30頁, 3,800

高尾直知著, 『〈嘆き[モーニング]〉はホーソーンによく似合う』 中央大学出版部, 2020. 8 15. 四六判iv+370+30頁, 3,800

概要

『アメリカ19世紀を代表する小説家のひとりナサニエル・ホーソーンは、従来から社会的道徳への無関心が指摘されてきた。『〈嘆き〉はホーソーンによく似合う』は、そのようなホーソーンの文学作品の初期作品から最晩年の遺作まで幅広く再検討して、ホーソーンの思想をまったく新しい視点から読みなおす。ヴァルター・ベニヤミンのアレゴリー論やフロイトのメランコリー論を援用し、それらを横断的に結びつける〈嘆き〉という概念をキーワードにして、作家の作品と社会的コミットメントを解釈し、新しい作家像と文学論を立体的に描く。


目次

序論—〈嘆き〉の語りの汎用性

Ⅰ 嘆きの萌芽

第1章 〈モラル・ヒストリアン〉ホーソーンー「ロジャー・マルヴィンの埋葬」とアレゴリカル・ロマンスの成立

第2章 ロマンスと嘆きの民主主義—「ぼくの親戚モーリノー大佐」における暴徒表象の意味

第3章 キューバの〈嘆き〉とホーソーン—「ラパチーニの娘」、『キューバ・ジャーナル』、『ファニタ』

Ⅱ 嘆きの成熟

第4章 家庭崩壊の美学—ホーソーンと宗教共同体的家庭改革

第5章 「なんじを創りしはだれぞ」—『緋文字』の怪物的誕生

第6章 動物磁気、強制移住、銀板写真—『七破風の屋敷』と〈嘆き〉の重層性

第7章 知りすぎた(のに語らない)男—『ブライズデール・ロマンス』と語りのメランコリア

Ⅲ 嘆きの結実

第8章 マーガレット・フラーと牧神—ローマ革命と社会運動の接触

第9章 ホーソーン氏、都に行く—「主として戦争問題について」における戦争政治学

第10章 世界改良のアメリカンドリームー「セプティミアス」原稿と不死の夢

あとがき