1. 新刊書
  2. 尾崎俊介, 『ハーレクイン・ロマンス 恋愛小説から読むアメリカ』 平凡社, 2019. 12. 13. 252頁, 880

尾崎俊介, 『ハーレクイン・ロマンス 恋愛小説から読むアメリカ』 平凡社, 2019. 12. 13. 252頁, 880

概要

恋愛ロマンス小説の代名詞「ハーレクイン」はどう読まれ、書かれてきたか。ヒロインとヒーローの変遷、フェミニズムとの攻防……偉大なるマンネリ小説からアメリカ社会を読む。 

目次

序章 恋は本屋さんで売っている?

第1章 道化師の誕生——ハーレクイン社とミルズ&ブーン社

それは二人の女性から始まった/イギリスのロマンス小説出版社ミルズ&ブーン

「有名な一人の男性作家」より「大勢の無名の女性作家」へ/主要マーケットは貸本屋

ストーリーと装幀の「ワンパターン」化戦略/娯楽の王者テレビの登場

「女性誌」とのタイアップ/ペーパーバック・ブームの到来

ハーレクイン社とミルズ&ブーン社の紳士協定

【コラム】 イギリスの貸本屋事情

 

第2章 ハーレクイン・ロマンス、アメリカへ進出

イギリス発カナダ経由/白衣のロマンス「ドクター・ナースもの」/アメリカ市場への進出/洗剤を売るようにロマンス小説を売る──新社長W・L・ハイジーの登場

ミルズ&ブーン社を傘下に/男性読者中心だったアメリカ市場/ロマンスの「製品化」

読者よりも年下のヒロイン/「絶世の美女」より「かわいい女の子」

「深窓の令嬢」より「つましい職業婦人」/高身長マッチョでイケメンなヒーロー像

アメリカ流「セルフメイド・マン」よりイギリス流「白馬に乗った騎士」

障害はロマンスの必須要素/ハッピーエンドの結末/ハーレクイン・ロマンスの三条件

ロマンス小説のマクドナルド化/空前のブーム

【コラム】 表紙イラストに描かれたヒーローとヒロイン

 

第3章 ロマンス小説を生み出した十八世紀イギリス

ロマンス小説の元祖『パミラ』/男の恋の物語から、女の恋の物語へ

貴族階級の没落とブルジョア階級の勃興/恋愛結婚と「駆け落ち」の流行

女性読者の誕生/男性は議論のために読書し女性は自分のために読書する

手紙を読む・書く女性たち/女性向けハウツー本でもあった『パミラ』

【コラム】 パロディの系譜——『高慢と偏見』から『ブリジット・ジョーンズの日記』へ

 

第4章 アメリカ人はロマンスがお好き?

ベンジャミン・フランクリンもロマンス小説に携わった/反面教師として読まれたロマンス小説/

アメリカ版『おしん』の「家庭小説」/キリスト教的信仰心から生まれた「家庭小説」

「玉の輿小説」の登場/アメリカン・ドリームとワーキング・ガール

砂漠の族長とのロマンス/ゴシック・ロマンスの登場

夫が私の命を狙ってる!?──ゴシック・ロマンスの醍醐味

新しいロマンスはイギリスからやって来る

【コラム】 新しいヒーロー像「アルファ・マン」

 

第5章 ロマンス戦争勃発

右肩上がりの一九七〇年代/ライバル「シルエット・ロマンス」の登場

実は奥手なハーレクイン・ロマンス/ラブシーンはどこまで許される?

アメリカ人ロマンス作家の登場/アメリカ版官能ロマンスの誕生

ライバル出版社の買収/アメリカから世界市場へ/新しい市場、中国

【コラム】 日本版の魅力、ハーレクインコミックス

 

第6章 ロマンス小説を読むのはなぜ後ろめたいのか

フェミニズムからの批判/ロマンス小説は有害図書?

なぜ女性は後ろめたい読書をするのか?/現実社会からの逃避と負の連鎖

フェミニズムとの「対立」から「相思相愛」へ/ハーレクインを読まなくなる社会へ?

【コラム】 ハーレクイン・ロマンス、最近の傾向

 

終章 偉大なるアマチュア文学

女性素人作家の発見/「質」より「量」の出版へ/出版社と作家の親密な関係

主婦からベストセラー作家へ/AIやコンピュータにも書ける?

ロマンス作家たるもの、熱心なロマンス読者であれ/ハーレクイン・ロマンスは永遠に!

【コラム】 ハーレクイン・ロマンスとコバルト文庫


あとがき