『緋文字』の冒頭、ニューイングランド植民地の処刑台に立つ、乳飲み子を胸に抱いた母ヘスターの姿は、美術史を飾る「聖母子像」を連想させた、という。本書は、アメリカ的想像力と「聖母子像」の変容をめぐる、一つのアメリカ文芸試論。
序章——「未来のマドンナ」、いま
第一章——「マグニフィカート」−−現代女性詩人の「マリアの歌」
第二章——見えないヨセフ(父)と家族のかたち(一)
第三章——見えないヨセフ(父)と家族のかたち(二)
第四章——「黒い聖母」——ロクサーナの娘たち
終章——親と子、家族のかたち、いま
あとがき