斎藤彩世著, 『教会を持たない愛——ヘンリー・ジェイムズ作品における同性愛をめぐって』 松籟社, 2019. 3. 20. 四六判293頁, 2,500

概要

「同性愛」をめぐるパラダイムが大きく変わりゆく時代に生きた作家ヘンリー・ジェイムズ。彼は、さまざまな「愛」に関する思考を、どのように小説という表現形式に結晶させたのか。

異性愛やきょうだい愛、親子愛と重ねあわせつつ描かれる「同性愛」表現の多様性に注目しながら、ジェイムズの主要作品を読み直す。

目次

第一章 幽霊物語における同性愛的欲望——「古衣装のロマンス」と「友だちの友だち」

第二章 『ワシントン・スクエア』における父と娘の婚約者の執心

第三章 『ある婦人の肖像』における「父」と同性愛的欲望

第四章 『ボストンの人々』におけるロマンティック・フレンドシップ

第五章 『カサマシマ公爵夫人』における負の遺産と同性愛的欲望

第六章 『ポイントンの蒐集品』における身体的接触と無意識の同性愛

第七章 『あちらの家』における多様な愛の混交

第八章 『ねじの回転』における階級制と同性愛

第九章 『大使たち』における「息子」の救済

第十章 『鳩の翼』における同性愛ロマンス