概要
「アメリカ文学ノーベル賞作家スタインベックの作品を通して探るアメリカ社会・文化・環境」「人生をめぐる旅」「小説技法と作品論」「スタインベックから世界へ」の4部に構成され、時代思潮および社会問題、作家・作品研究、比較文学文化研究などの観点に基づく16本の論考を収めた。
目次
序………スタインベック研究の現在
第一部 スタインベックを通して探るアメリカ社会・文化・環境
ドキュメンタリー・アメリカーーニューディールの文化生成と『怒りのぶどう』の政治学 塚田幸光
『怒りのぶどう』とニューディールの想像力 木原健次
『知られざる紙に』のアニミズム--樹木と岩と大地と 中島美智子
スタインベックとアメリカ民衆文化の想像力 中垣恒太郎
第二部 人生をめぐる旅--スタインベックの精神世界
『われらが不満の冬』--港町の魔女たち 鈴江璋子
人生とは旅なり--『チャーリーとの旅』(一九六二)を中心に 馬渡美幸
カリフォルニアの「ぶどう」を食べるのは誰か--『怒りのぶどう』とアメリカの道文化 加藤好文
伝記、書簡、日記に見られるジョン・スタインベックの病歴 山内 圭
第三部 小説技法と作品論--スタインベックの物語世界
『真珠』の音楽--重層性と繋がりを求めて 金谷優子
労働者たちの見た夢--『はつかねずみと人間』考 田村 亮
創造主は自分の作ったものに何を思う--『エデンの東』における創造と想像 大須賀寿子
『知られざる神に」を読む--ケルト文化から見た一考察 酒井康弘
第四部 スタインベックから世界へ--比較文学、クロスメディアへの視座
『はつかねずみと人間』をめぐる日本的解釈--もののあはれを知るファーム・ハンズ 久保田文
映画『はつかねずみと人間』のクルックス--一九三九年版と一九九二年版の比較から見たアメリカ 高平有希
司馬遼太郎とスタインベック--なぜ、『アメリカ素描』に、スタインベックが頻出するのか 金子 淳
スタインベックと中国 林ひふみ
日本ジョン・スタインベック教会のあゆみ
あとがき
執筆者紹介