1. 新刊書
  2. 倉橋洋子, 高尾直知, 竹野富美子, 城戸光世編著. 『繋がりの詩学 近代アメリカの知的独立との形成』 彩流社, 2019. 2. 15. A5判349+11頁, 4,200

倉橋洋子, 高尾直知, 竹野富美子, 城戸光世編著. 『繋がりの詩学 近代アメリカの知的独立との形成』 彩流社, 2019. 2. 15. A5判349+11頁, 4,200

概要

18世紀〜19世紀末のアメリカで〈知的コミュニティ〉がどのように立ち上がり、「国家形成」に影響を与えたのか、人々の繋がりからアメリカの知的独立への道をたどる。

独立戦争を経て、民主的な国家建設をめざしていた18〜19世紀のアメリカ。

文学・哲学・科学・博物学等、各分野の知識人たちは、建国の精神を反映し、改革・発展の使命感とヨーロッパからの精神的自立・独立を志向し、さまざまな〈知のコミュニティ〉を形成した。

近年、「グローバル化」と対置する形で「コミュニティ」の概念が注目されている。

本書は、18世紀アメリカのアイデンティティ確立に貢献した人々の繋がりを浮き彫りにし、その「コミュニティ概念」形成を先駆けた18〜19世紀のアメリカを新たに見直す論集である。

目次

第Ⅰ部 共和国と知のコミュニティ

◉マンハッタンの「魔女狩り」

  ──ニューヨーク奴隷叛乱陰謀事件における情報解釈共同体的誤謬

………【白川恵子/同志社大学教授】

◉アメリカ哲学協会とアメリカン・アイデンティティの誕生

  ──金星とマンモスを追いかけて

………【竹腰佳誉子/富山大学准教授】

◉ニューヨークの知的サークル「フレンドリー・クラブ」と初期アメリカ文学の形成

  ──チャールズ・ブロックデン・ブラウンの『オーモンド』を中心に

………【辻祥子/松山大学教授】

第Ⅱ部 ニューイングランド的コミュニティ

◉エマソンの「透明な」自然と環大西洋思想の環流

………【成田雅彦/専修大学教授】

◉『マサチューセッツの報告書』とソローの「マサチューセッツの博物誌」

………【竹野富美子】

◉ホーソーンと『懐かしの故国』のピアスへの献辞──サタデー・クラブを中心に

………【倉橋洋子】

◉知の伝道師ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー

………【稲冨百合子/岡山大学非常勤講師】

第Ⅲ部 女性と知のコミュニティ

◉想像の世界文学共同体

  ──マーガレット・フラーの『ゲーテとの対話』翻訳

………【古屋耕平/神奈川大学准教授】

◉会話というコミュニティ

  ──〈愛〉の実現の場としてのマーガレット・フラーの〈会話〉

………【髙尾直知】

女たちのユートピア

──ブルック・ファームにおける理想と現実

………【城戸光世】

第Ⅳ部 メルヴィル的コミュニティ

◉メルヴィルとシェイクスピア、あるいは幻の文学共同体

  ──「ホーソーンと彼の苔」のころ

………【橋本安央/関西学院大学教授】

◉メルヴィルと「ヤング・アメリカ」

………【林姿穂/三重県立看護大学准教授】

◉劇場文化の政治学

  ──「二つの教会堂」を通して読み解く『信用詐欺師』

………【竹内勝徳/鹿児島大学教授】

第Ⅴ部 拡がりゆくコミュニティ

◉重なる断片、生まれるコミュニティ

  ──ルイーザ・メイ・オルコットの模倣とその作品の行方

………【本岡亜沙子/広島経済大学准教授】

◉ローウェル、フィールズ、ハウエルズの編集方針

  ──『アトランティック・マンスリー』に見る知的コミュニティの形成

………【中村善雄/ノートルダム清心女子大学准教授】

◉世紀末イギリス社会主義者たちの〈アメリカン・ルネサンス〉

………【貞廣真紀/明治学院大学准教授】