1. 新刊書
  2. 西尾ななえ著. 『エマソンと社会改革運動 進化・人種・ジェンダー』 彩流社, 2018. 10. 15. 四六判215+17頁, 2,500

西尾ななえ著. 『エマソンと社会改革運動 進化・人種・ジェンダー』 彩流社, 2018. 10. 15. 四六判215+17頁, 2,500

概要

人間精神の自由と平等を標榜し、19世紀アメリカ・ルネッサンス期を代表する思想家、ラルフ・ウォルドー・エマソン(1803-82)。

「自己信頼」を信条に個人主義を貫くエマソンは、アメリカ社会発展のシンボルとされ、社会改革者としての側面は見過ごされてきた。

「自己信頼」にもとづく個人主義と、社会に対する責務で葛藤するエマソンは、自然科学、とくに進化論をとおして、自身の改革思想を形成していく。

本書では、主に進化、人種、ジェンダーの視座から、エマソンの社会改革思想を包括的に検証し、さらに、奴隷制廃止運動と女性解放運動といった、当時の社会改革運動とエマソンの関わりを詳述、社会改革者としてのエマソンを再評価する。

また、エマソンの家庭、マーガレット・フラーやヘンリー・D・ソローとの交友関係にも焦点をあて、思想の実践も考察する。

目次

序章

第1章 自然科学と進化にみる思想の原点

1 自己信頼と社会改革観

2 自然科学への関心——「対応の思想」と信仰の確立

3 進化思想と楽観主義——神意の象徴としての上昇螺旋運動 

第2章 エマソンと奴隷制

1 社会への責務と正義感——個人と社会の狭間で

2 奴隷制問題と人種観を巡って

3 奴隷制廃止運動への参加

第3章 エマソンと女性の権利

1 女性解放運動への関わり——理想の女性像との葛藤

2 「女性について」(1855)にみる女性観

3 思想の変化——1869年の講演から

第4章 家庭におけるエマソンと思想の実践

1 夫婦の関係と結婚観

2 愛と友情——フラーやソローとの交友関係を中心に

3 妻リディアンと「真の女性らしさ」

終章