概要
「いま何て言ったか聞いたか。マルコムが死んだんだ。」
ブラック・ナショナリストの父ポール・コーツと、自らの身を守って生きる、息子タナハシ。
クラックと銃に溢れ、一瞬にして奈落に落ちるアメリカ社会の容赦ない現実を力強く生き抜く、父と息子の物語。
ヒップホップやラップのリリックを駆使した、疾走感溢れる文体、自由の国アメリカの不自由さを冷徹に抉り出す、クールな批評精神——。
『世界と僕のあいだに』で全米図書賞を受賞し、現代の黒人社会を代表する知識人と目される、タナハシ・コーツの衝撃のデビュー作。