概要
イギリスの入植先となった歴史から、多様な文学世界が形成されたオーストラリアとニュージーランド。移民したイギリス人の帰属意識とアイデンティティ。「白豪主義」から「多文化主義」へ。先住民アボリジナル(アボリジニ)/マオリへの「支配と抑圧の歴史」から「共存の模索」へ。南太平洋で繰り返された核実験により広まった反核運動。両国の歴史を反映しつつ、国や民族、人種、文化や歴史を再建/超越した新たな文学の展開を見せている。
目次
第1章 「オーストラリアの大いなる沈黙」を超えて──ケイト・グレンヴィルの『闇の河』にみる翻訳と文化的記憶……【一谷 智子/西南学院大学文学部教授】
第2章 メンターを求めて——オーストラリアの女性離国作家たち……【加藤 めぐみ/明星大学人文学部教授】
第3章 J・M・クッツェー「エリザベス・コステロ」作品に見られるアイデンティティの揺らぎ……【大場 久恵/日本女子大学学術研究員】
第4章 キャサリン・マンスフィールドにおけるパケハ批判……【三神 和子/日本女子大学文学部教授】
第5章 ジャネット・フレイム──アルファベットの外縁から見た世界……【小杉 世/大阪大学言語文化研究科准教授】
第6章 新生ニュージーランドを目指して──ケリー・ヒュームの『ボーン・ピープル』……【三神 和子】
第7章 ウィティ・イヒマエラと命の文学……【澤田 真一/弘前大学人文社会科学部准教授】
第8章 広島を目撃したマオリ詩人ホネ・トゥファーレ……【サワダ ハンナ ジョイ/弘前大学国際連携本部准教授】
◉コラム◉
オーストラリア女性作家と奥地
移民国家オーストラリアの始まりとは?
オーストラリアの『文化的劣等感』
ニュージーランド作家としてのマンスフィールド
螺旋(スパイラル)模様
マオリ・ルネッサンス
平和の壁画