概要
ホーソーンは『旧牧師館の苔』以降、短編から長編へと創作スタイルを移行させたが、そのどの長編ロマンスにもプロヴィデンス(神の摂理)の概念と語が遍在しており、本書はそのプロヴィデンスの文学装置としての有用性とテーマを関連付けて包括的に論じたものである。
目次
序 章 「人間世界の偶然の出来事は神の計画」
ホーソーンのプロヴィデンス
第一章 『旧牧師館の苔』
自然の秩序とプロヴィデンス──「二重のナラティヴ」の試み
第二章 『緋文字』
曖昧性を生み出すプロヴィデンス──幻影と「魔女」
第三章 『七破風の屋敷』
人間の歴史とプロヴィデンス──呪いの成就と神の計画
第四章 『ブライズデイル・ロマンス』
—創造主としてのプロヴィデンス──劇場神と酒神のアイロニー
第五章 『大理石の牧神』
地上を見下ろすプロヴィデンス──二つの「幸運な堕落」
補 章 『フランクリン・ピアス伝』と「主に戦争のことに関して」
奴隷制と南北戦争のプロヴィデンス
むすび
あとがき