概要
ホワイトネスの実態は不可視であると言われてきた。非ホワイトネスを差別と弾圧の対象としてきた主体としてのホワイトネスを、視点の逆転によって客体化することによって可視化し、その実態の内実を精査し、アメリカ文学に現れたそれが持つ特権と権力、物言わぬ規範、世界の基軸としての地位・財産等を剔抉する。さらに、ホワイトネスの問題を生み出した西洋近代の功罪をも併せて検証する。
目次
序文 (安河内英光)
アメリカの文化戦争からホワイトネス研究へ——近代の闇 (安河内 英光)
ト二・モリスン『ビラヴド』—— 所有する「者」とされる「物」 (銅堂 恵美子)
アーネスト・ヘミングウェイの『エデンの園』における「白さ」の問題
——キャサリン・ボーンの人種に関する強迫観念とヘミングウェイの「白さ」への不安 (内田水生)
ダーク・ラヴァー、ホワイト・ガール——『夜はやさし』における人種と性 (高橋 美知子)
アメリカの中のイタリアが生み出す悲劇——『橋からの眺め』における白さと男らしさのゆらぎ (岡裏浩美)
人種認識の経由地としての南部——ジェイムズ・ボールドウィンの『もう一つの国』 (永尾 悟)
経験がものを言う——フランシス・E・W・ハーパーの『アイオラ・リロイ』とプラグマティズム (藤野功一)
白から赤へ——マーク・トウェインとアメリカ・インディアン (田部井 孝次)
あとがき (田部井 孝次)
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索引