概要
未曾有の災厄に立ち向かったユダヤ人のさまざまな「笑い」——。
ジョーク好きで知られるユダヤ人。大虐殺という極限状態を描くにあたって、ユダヤ系作家らのユーモア精神はいかに機能したのか。文学や映画に探る。
目次
まえがき
第1章
ホロコーストに見るユーモア——バシェヴィス・シンガーとシンシア・オジック(広瀬 佳司)
第2章
不条理な笑い——アイザック・バシェヴィス・シンガー『敵、ある愛の物語』より(今井 真樹子)
第3章
繰り返されるホロコーストとブラックユーモア——バーナード・マラマッドの『神の恩寵』(鈴木 久博)
第4章
自己欺瞞のユーモア——シンシア・オジックの「雇われ人」におけるホロコーストの物語化(秋田 万里子)
第5章
ホロコーストの記憶と想像力——シンシア・オジックの「空中浮遊」を通して(大森 夕夏)
第6章
笑いが覚醒させるホロコーストの記憶——フィリップ・ロス『解き放たれたズッカマン』(坂野 明子)
第7章
シャイロック対シュレミール——フィリップ・ロスの『オペレーション・シャイロック』(杉澤 伶維子)
第8章
ゲットーを生きて——レスリー・エプスタインの『ユダヤ人の王』(佐川 和茂)
第9章
マンガの中のホロコースト——アート・スピーゲルマンの『マウス』(アンドリュー・M・ゴードン/ 江原 雅江 訳)
第10章
ホロコーストと詩——ユーモアを生み出す力(風早 由佳)
第11章
ユダヤ的ユーモアと転倒するアイデンティティ——『ミケランジェロの暗号』(中村 善雄)
第12章
ジョナサン・サフラン・フォアとリーヴ・シュレイバーのホロコーストへの旅
——『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』に見るユーモア(伊達 雅彦)