概要
人生、芸術、語り、主体、創作、金融、環境、過去、未来——。
歿後100年、越境するまなざし。巨匠H.ジェイムズの非時多在性を読みとく20篇
目次
はじめに
ジェイムズ学事始(行方昭夫)
第一部 人生と芸術
実人生とフィクション——彫刻家トーマス・クロフォードと『ロデリック・ハドスン』(北原妙子)
復讐を描く/画く——ジェイムズの小説と絵画の芸術的表現(中井誠一)
ジェイムズの劇作への挑戦と挫折をめぐって——『ガイ・ドンヴィル』を中心に(名本達也)
ジェイムズ家のイギリス批判——『アリス・ジェイムズの日記』をめぐって(中川優子)
源流から河口まで——ジェイムズ家探訪(水野尚之)
第二部 揺れる主体
ジェイムズの手記と幽霊——境界上の語りの戦略(齋藤園子)
見間違いの喜劇——『聖なる泉』の間主観的世界(松井一馬)
「今はもう向こう側」——「密林の獣」におけるセクシュアリティの境界(畑江里美)
分身というモンスター——「なつかしの街角」における自己イメージの問題(砂川典子)
ジェイムズのホームカミング——expatriate から "dispatriate" へ(石塚則子)
第三部 変わりゆく意識
『ポイントンの蒐集品』における「もの」とひとの関係(町田みどり)
ストレザーの「新しい倫理」——アメリカ、グローバリゼーション、正義(松浦恵美)
欲望の構図——『鳩の翼』に見る資本主義的対立(堤千佳子)
新しい家庭構築の試み——アメリカン・ヒロインとしてのマギー(志水智子)
耳をすます子ども——『メイジーの知ったこと』に聴くモダンの風景(難波江仁美)
第四部 非時空間の世界
ジェイムズの眼差しの戦略と差延化する/されるアイデンティティ(中村善雄)
アメリカ民主主義の功罪——『アメリカの風景』の訴え(里見繁美)
越境の先——二つの未完作品に見えるもの(海老根静江)
見えない越境——ヘンリー・ジェイムズと日本を結ぶ点と線(福田敬子)
ヘンリー・ジェイムズ、「空間/時間の移動」、「リタラリー・ナショナリティ」(別府惠子)
あとがき
日本におけるヘンリー・ジェイムズ書誌
索引