概要
ホーソーン没後150年 記念論集、成る。
アメリカの作家たちの共鳴・交感がここに明らかになる。ホーソーン、メルヴィル、ポー、エマソン、ソロー、ストウ、オルコット、ジェイムズ、バーネット、ハーディ、フォークナー、オコナー、モリソン、オースター・・・。かれらをつなぐロマンスの文学的遺産とはなにか。19人の論客がその姿をあぶり出す。
現在の日本ホーソーン研究の粋を集めた画期的論文集、ついに完成。
目次
まえがき
Ⅰ ホーソーンと十九世紀の作家たち
ホーソーンとロマンスの遺産——「若いグッドマン・ブラウン」に見る現実(リアル)の風景(成田雅彦)
《モラル・ヒストリアン》ホーソーン——精神的歴史のロマンス的語りかた(髙尾直知)
メルヴィル「林檎材のテーブル」における家庭小説の実験——ジャンルとの親和と軋轢(西谷拓哉)
トマス・ハーディによる『緋文字』変奏曲(吉田朱美)
“アメリカの小説”への挑戦——ヘンリー・ジェイムズ『象牙の塔』の終わりなき連関(竹井智子)
Ⅱ ホーソーンと二十世紀以降の作家たち
ホーソーンとフォークナーの「イタリア」——『大理石の牧神』と『響きと怒り』における南北戦争の影(藤村 希)
語り直される「痣」の物語——ホーソーンからオーウェル、モリソン、ジュライヘ(辻 祥子)
ホーソーン・ロマンスの継承——南部作家フラナリー・オコーナーによる受容(内田 裕)
アダプテーションとしてのA——『緋文字』受容の変遷(城戸光世)
アメリカン・ルネサンス的主人公の不滅——ファンショー、デュパン、オースター(伊藤詔子)
Ⅲ ホーソーンと子どもたち
パールと子ども像の変遷——失われた環を求めて(生田和也)
ロマンスの磁場、奇跡、子ども——「雪人形」と『秘密の花園』の生命の庭(高橋利明)
ローズ・ホーソーン・ラスロップ——父の面影を求めて(稲冨百合子)
死者は語る——ジュリアン・ホーソーンの「エドガー・アラン・ポーとの冒険」と「エセリンド・フィングアーラの墓」を読む(池末陽子)
Ⅳ ホーソーンと歴史・人種・環境
「いつわりのアルカディア」——ホーソーンの自然観を再考する(野崎直之)
ホーソーンの鉄道表象——「天国行き鉄道」を巡るピューリタン的/アフロ・アメリカン的想像力(中村善雄)
ゴムの良心とリアリズム——政治家ホーソーンがイギリスで見たもの(進藤鈴子)
ホーソーンの戦争批判——晩年の作品を中心に(大野美砂)
「頭を突き出した蛇のような疑念」——『セプティミアス・フェルトン』における歴史と情動(古屋耕平)
ウェークフィールド的文学史の試み——あとがきに代えて(髙尾直知)
索引
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