概要
その最晩年、〈彼〉は私たちのイメージする〈作家ヘミングウェイ〉ではなかった。
老いと病に苦しみながらも、ノーベル賞受賞後にもう一花咲かせようとした〈作家ヘミングウェイ〉。晩年の作品群の変更過程をオリジナル原稿の修正痕から丁寧に辿り、〈彼〉が発信あるいは隠蔽しようとした多層的な〈ヘミングウェイ〉を明らかにする。老いゆく作家が第二次大戦後に抱いた壮大な構想「陸・海・空三部作」とは何だったのか。
目次
序章
第一章:ヘミングウェイと「ヘミングウェイ」の分岐点
第二章:『海流の中の島々』
第三章:『エデンの園』/「最後の良き故郷」
第四章:『夜明けの真実』/『キリマンジャロの麓で』
第五章:第二次世界大戦を題材にした生前未出版の短編
第六章:『移動祝祭日』/『移動祝祭日—修復版』
第七章:『危険な夏』
終章 :ヘミングウェイ自伝の諸相 ——キュビズム、パリへの追憶、そして死の予兆